最近、非常に耐久力の高い塗料として、無機塗料を勧める業者が増えてきているようです。
もしかしたら、業者に勧められて無機塗料について調べている方もいるかもしれませんね。
無機塗料が非常に優れた塗料であることに間違いはないのですが、多くの業者がメリットばかりを強調しがちです。
そのため、「本当にいい塗料なの？」と疑問に思っている方も少なくないと思います。
そこでここでは、無機塗料ならではの特徴や、採用する際の注意点などを紹介していこうと思います。
ぜひ、塗料選択の参考にしてみてください。
目次
無機塗料とは？
無機塗料とは、無機物が主原料となっている塗料全般のことを指しています。
無機物とは、ガラスや金属、セラミック、レンガのような物質のことです。
無機物は物質的に安定しており、紫外線に長期間さらされてもほとんど劣化することがありません。
昔の陶器やガラスが壊れることなく残っていることからも、その耐久力の高さが分かるかと思います。
この耐久力の高さを塗料に活かしたものが、無機塗料というわけです。
一方、一般的なシリコン塗料やウレタン塗料は、まとめると有機塗料に分類されます。
主原料となっているシリコンやウレタン、フッ素を含む樹脂は全て有機物に分類されるので、このような分け方がされているのです。
有機物のほとんどは、紫外線によりじわじわと分解されます。
これは、紫外線が分子間の結合を切断することが原因であるため、防ぐことは不可能です。
だからこそ、有機塗料は全て経年劣化するというわけです。
と言うことは、100％無機物のみで塗料を作ることができれば、紫外線により劣化しない塗料が完成するということになります。
しかし現状、無機物100％の塗料というものは実現できていません。
塗料として機能させるために、多少の有機物と混合しているのです。
混合された有機物は紫外線により劣化するので、無機塗料もいずれ劣化してしまうことになります。
無機塗料のメリット
塗装業社が無機塗料を勧めるようになっている原因は、「儲かるから」というわけでもありません。
無機塗料は、外壁塗装用の塗料として、非常に優れた機能を持っているのです。
では、無機塗料を外壁に塗装した際のメリットを詳しく紹介していきましょう。
フッ素塗料をしのぐ耐用年数
無機塗料は外壁塗装に使用される塗料の中でも、トップクラスの耐久性を誇ります。
そもそも主原料となっている無機物は、紫外線があたっても劣化しません。
無機物のように半永久的に持つことはありませんが、紫外線に非常に強いという性能を持っているのです。
無機塗料は、高機能な塗料の代表格であるフッ素塗料をしのぐ耐久性を誇っており、20年以上の耐用年数を実現しています。
一般的なシリコン塗料に比べると、実に2倍もの耐用年数を誇るのです。
塗り替えの頻度を最小限に抑えることができるので、長期的な塗り替えコストの削減にもつながるでしょう。
汚れに強い
無機塗料は、水となじみやすい特徴を持ち、外壁の汚れを防ぐ機能を持っています。
タイルやガラスの表面に、汚れが付着しにくいのを想像すればわかりやすいですね。
タイルやガラスに多少汚れが付着しても、水で流せばすぐに落とすことが可能です。
無機塗料も、タイルやガラスと同じ機能を備えています。
多少の汚れは密着することなく、雨水で自動的に流れてくれるのです。
また、無機物には静電気が発生しないという特徴もあります。
静電気の発生を抑えることができれば、ほこりやチリが外壁に付着することを防ぐこともできるのです。
ただし、雨水が当たりにくい軒下などは、どうしても汚れが溜まってしまいます。
このような部分に対しては、定期的にホースで水をかけるだけで、きれいな見た目を保つことができるでしょう。
耐火性が高い
無機塗料の主な成分は、ガラスやレンガのような素材です。
これらの物質は、基本的に燃えることがないですよね。
無機塗料もこの性質を引き継いでおり、非常に高い耐火性を実現しています。
万が一、隣の家が火事になったとしても、炎が燃え移る可能性を低くしてくれます。
防災の面から考えても、無機塗料は非常に有効な塗料と言えるでしょう。
変色しにくい
外壁塗装は、塗料が紫外線により劣化することで色あせてしまいます。
無機塗料は紫外線に対する耐久力が高いため、色あせのような変色が起こりにくい塗料といえるのです。
無機塗料を塗装すれば、塗り替えたばかりの美しい外観を長期間にわたり維持できるでしょう。
きれいな外観を保つことも、外壁塗装の一つの役割といえます。
この点においても、無機塗料は高いレベルで役割を果たしてくれるのです。
カビやコケが発生しにくい
カビやコケは、有機物を栄養として繁殖します。
無機塗料は有機物の含有率が低くエサがないため、カビやコケの発生しにくい塗料と言えるでしょう。
また、汚れがつきにくいため、有機物を外壁上にほとんど留めません。
汚れがつきにくいという無機塗料の性質も、カビやコケへの強さに一役買っています。
無機塗料のデメリット
外壁を紫外線や風雨から強固に守ってくれる無機塗料ですが、弱点もいくつか存在します。
この弱点を理解していないと、塗装後に「思っていたのと違う」なんてことになりかねません。
では、無機塗料の持つデメリットについて詳しく見ていきましょう。
価格が高い
無機塗料は、非常に優れた塗料なので、お値段も高価なものが多いです。
また、まだ広く普及していないことも価格の高さを助長してしまっています。
塗料の値段が高くなれば、それだけ塗り替えにかかるトータルコストも高額になります。
特に外壁は塗装する面積も広いので、塗装費用がかなり高額になることが考えられるのです。
初期費用を抑えたいという方にとっては、なかなか採用が難しい塗料といえるでしょう。
塗装ができない建材がある
無機塗料に限ったことではありませんが、塗料と建材には相性があります。
広く普及しているシリコン塗料ですら、モルタル外壁に塗装するとひび割れやすく不向きとされているのです。
また、普及している塗料は、建材の特徴に合わせて開発されています。
だからこそ、建材に合わせた機能を発揮できているのです。
無機塗料は、他の塗料に比べると、まだ種類が豊富とは言えません。
また、塗料の種類により機能が大きく異なるので、建材との相性もまちまちです。
だからこそ、使える建材が限られるケースが結構多いのです。
中には、サイディングボードに塗装できない無機塗料まであります。
サイディングボードは、現在の外壁に使われる主流の建材なので、ほとんどのお宅に塗装できない無機塗料もあるということです。
今後、無機塗料が普及して種類が増えれば、建材に合わせた塗料も開発されてくると思います。
ただ現段階では、塗装できない建材が多いのは一つのデメリットと言えるでしょう。
ひび割れに弱い
無機塗料の主原料はガラスやレンガのような無機物なので、塗膜が硬くなりがちです。
塗膜が硬いとひび割れが入りやすくなるので、揺れや衝撃には弱い一面があります。
ただし、無機塗料の中には、弾力性や伸縮性に富んだハイブリッド塗料も販売されています。
このようなタイプを選択すれば、揺れの激しい立地であっても無機塗料を採用することは十分可能です。
無機塗料を選択する場合の注意点
無機塗料は、耐久性の高さが注目されがちですが、性能を発揮するためには守るべきことがあります。
無機塗料を検討する際は、以下のことに特に注意してください。
塗料の性能をきちんと確認する
一言に無機塗料といっても、種類ごとに特徴が大きく異なります。
そもそも主な原料となっている「無機物」にも色々な種類があるので、配合される原料で機能が異なるのです。
そのため、あなたが必要とする機能が満たせる塗料かどうか、まずは見極めなくてはなりません。
さらに、無機塗料を選ぶ際に注意するべきことがあります。
実は、無機塗料には「無機物が〇％以上含まれている」などといった決まりがありません。
つまり、ほんの僅かでも無機物が配合されていれば、無機塗料を名乗ることができるというわけです。
そのため、有機塗料とほとんど同じ中身であっても、無機塗料を名乗っている塗料も出回っています。
基本的に大手塗料メーカーが製造する無機塗料なら、無機物の含有量が少量と言うことはありません。
逆に、聞いたこともないようなメーカーの塗料や自社開発を謳う無機塗料は、注意が必要といえるでしょう。
技術力の確かな業者に施工を依頼する
実際に塗装を行う業者の技術力が低い場合、どれだけ高機能な塗料を塗ってもすぐに剥がれてしまいます。
塗装だけでなく下地処理も重要な要素なので、塗装全般の高い技術力が不可欠なのです。
特に無機塗料は、塗ったときの伸びが悪いため、均一に塗装することが難しいと言われています。
均一な塗膜を形成できなければ、それだけ後で不具合が生じることになるのです。
無機塗料の性質について詳しく、扱いにも慣れた業者に施工を依頼することが、質のよい外壁塗装を実現する最大のコツといえます。
無機塗料は単価が高いので、すぐに剥がれてしまっては家計へのダメージも大きくなってしまいます。
そうならないためにも、業者は十分に吟味する必要があるでしょう。
塗り替えができない場合がある
無機塗料は、汚れを強力に弾きます。
これはつまり、塗り替え時に塗料まで弾いてしまう可能性が高いということです。
無理に塗り替えを実施しても、すぐに剥がれることになりかねません。
中には、塗り替えができないため、外壁の交換が前提となっている塗料もあるほどです。
一度無機塗料を塗装すると20年以上塗り替えの必要はありませんが、念のため次回の塗装のことも考慮して検討
した方がいいでしょう。
無機塗料が特に活躍する場面
無機塗料の最大の特徴は、耐用年数の長さです。
20年以上に渡り、マイホームをきれいな状態に保ち続けてくれます。
そのため、特に建て替えを予定していないのなら、どのお宅で採用しても活躍できることでしょう。
また、汚れから外壁を守る機能も非常に強力です。
幹線道路沿いなどの汚れやすい立地にある家でも、手間をかけることなく美しい見た目をキープできるでしょう。
そのため、「常にキレイな家の状態を保ちたい」と願うなら、無機塗料が最大限活躍してくれると思います。
無機塗料の価格相場
無機塗料の費用相場は、1㎡あたり3,500～5,500円程度となっています。
一般的に普及しているシリコン塗料は、1㎡あたり2,300～3,500円なので、1.5倍から2倍程度も塗料に費用がかかることになります。
ただし、無機塗料は20年以上塗り替えいらずの塗料なので、塗装工事の頻度はシリコンの1/2以下で済みます。
塗装にかかる費用は、塗料代だけでなく足場代や人件費もかかるので、長い目で見ればコスト削減につながると言えるのです。
一度の外壁塗装にかかる費用はかかりますが、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
無機塗料の塗装もニシムラ塗装におまかせください
無機塗料の塗装には、確かな技術と経験が必要です。
せっかく高価で高性能な無機塗料を選んでも、塗装技術が低いと100％の実力が発揮されないのです。
最悪の場合、施工技術が低いと数年で塗装が剥がれてしまうケースも考えられます。
そこで、無機塗料での塗装を検討中なら私たちニシムラ塗装に相談してみてください。
私たちは苫小牧を中心に、室蘭や千歳周辺で豊富な外壁塗装の実績がありますので、地元の気象条件まで考慮に入れて確実な塗装を実現することができるでしょう。
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