写真:ガルバリウム鋼板

近年、建物の鉄部素材として、ガルバリウム鋼板が広く使われるようになりました。
ガルバリウム鋼板は鉄の板を、アルミニウムや樹脂を合成したメッキで覆い、さらに表面に塗装をほどこしたものでサビに強い丈夫な建材です。

ガルバリウム鋼板は、屋根、外壁、雨戸、戸袋、棟板金などに広く使用され、デザインも豊富で見た目も美しく、耐久性にも優れています。
しかし、ガルバリウム鋼板の塗装も年数がたつと劣化し、ひび割れや剥離が生じてサビてしまうこともあります。
よく、「ガルバリウム鋼板はメンテナンス・フリー」などと言われていますが、実際には10年を目安に定期的なメンテナンスが必要です

ここでは、ガルバリウム鋼板のメリットとデメリットや、本来の耐久年数を維持するためのメンテナンスについて解説していきましょう。

目次

ガルバリウム鋼板とは?

ガルバリウム鋼板は、米ベスレヘムスチール社が開発した商品で、日本では1982年頃から販売されています。
現在では、新日鐵住金が商標登録しており、機能的な建材として一般住宅に広く利用さる建材です。
現場によっては、「ガルバ」、「ガルバニウム」、「ガリバニウム」などとも呼ばれています。

トタン板は亜鉛だけでメッキしていますが、ガルバリウム鋼板のメッキにはアルミニウムや樹脂が使われており、鋼板を雨水や紫外線から守るため耐用年数が長いことが特徴です。
ちなみに、新日鐵住金のメッキは、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン樹脂1.6%で構成され、優れた耐蝕性を発揮してくれます。
耐蝕性の高さから、ガルバリウム鋼板は、屋根、外壁、雨戸、戸袋をはじめ、住宅の様々な用途に利用されています。

耐久性も非常に高く、従来のトタン屋根が10~20年の耐久性であるのに対して、ガルバリウム鋼板は20~30年ほど持つとされています。
厚みは1~4mmと薄くて加工しやすく、瓦の形に成形したものもあり、デザイン性に優れた製品も非常に多いです。
また、セメントなどのモルタル建材に比べて軽量なため、建物の基礎部分にかかる負荷を軽減することができ、地震に強いといった特徴も持ち合わせています。

ガルバリウム鋼板の選び方

ガルバリウム鋼板は様々なメーカーから販売されており、施工方法が異なります。
品質もそれぞれですので、信頼できるメーカーの製品がオススメです。

ガルバリウム鋼板の主要メーカー

選択時には、各メーカーの商品のラインアップや、特徴、耐久性などを確認してください。

ガルバリウム鋼板のカラー

ガルバリウム鋼板は、カラーバリエーションが非常に豊富です。
特に外壁や屋根の色は、建物の印象を決定付けるため悩んでしまいますよね。

一般に、白などの薄い色は、雨だれによる水垢の汚れが目立ちやすく、黒などの濃い色は泥ハネが目立ち、原色に近い赤・青などは色あせしやすい傾向があります。
アイボリー、ライトブラウン、ベージュシルバー、水色、グレーなどの中間色の方が、汚れが目立ちにくく無難な色として人気は高いですね。

とは言え、水洗いや塗装の塗り替えなどのメンテナンスをすることで、どのような色でもあまり問題はありません。
色々な配色を想像して、楽しみながら決めてください。

ガルバリウム鋼板のメーカー保証

ガルバリウム鋼板には、通常10年以上のメーカー保証が付いています
しかし、保証条件もあるため注意が必要です。

まず、現場で切断加工した場合は、メッキの中の金属がむき出しとなって、そこから腐食することがあるため対象外となってしまいます
実際には現場で切断加工をするケースも多いため、設置や塗装が適切に処置されるように、施工会社や塗装業者選びには十分な注意が必要です。

また、ガルバリウム鋼板は施工や塗装に職人技が必要な建材です。
メンテナンスに手間や費用がかかる一面もあるため、検討材料に入れておくとよいでしょう。

ガルバリウム鋼板のメリット、デメリット

写真:ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は万能のように思われがちですが、メリットとデメリットがあります。
トラブルを起こさないためには、建材としての長短を把握しておくことが大切です。

ガルバリウム鋼板のメリット

ガルバリウム鋼板は、金属なのにサビにくく、豊富なデザインや色から選べることがメリットです
塩害のある地域でも10年以上、一般に20年以上の耐久年数があり、ツヤのある美しい外観を長く保つこともできます。

また、ガルバリウム鋼板は、薄くて軽量であるため、耐震性能を高めるためにも有効です。

ガルバリウム鋼板のデメリット

デメリットとしては、ガルバリウム鋼板はデリケートな素材なため、工事や維持にコストがかかることが挙げられます。
また、施工の際に傷つきやすいため、他の金属と接触させない配慮が必要です。
上塗りの塗料が載りにくいために、塗装技術が必要な側面もあります

熱伝導で室内温度が上がらないように、断熱材を別途入れる必要性もでてきます。
屋根の雨音や外壁の風音などでは、防音性に劣るというデメリットも気になるかもしれません。

ガルバリウム鋼板のメリット ガルバリウム鋼板のデメリット
  • 耐久年数20年以上
  • 塩害のある地域でも10年以上
  • 表面に光沢がある
  • サビにくく、寿命が長い
  • 薄くて軽量で扱いやすい
  • デザイン性があり、色数が多い
  • 表面がつるつるで塗料が定着しにくい
  • 熱伝導で、室温が高くなりやすい
  • 別途断熱材などの費用がかかる
  • 雨音が家の内部に伝わりやすい
  • 傷がつくと、そこから劣化する
  • 現場での加工で保証が効かないことがある

ガルバリウム鋼板で塗装が必要な理由

ガルバリウム鋼板は、「サビにくい」ということが最大の特徴です。
しかし、「サビない」ということではありません。
ガルバリウム鋼板のメッキの効果も、徐々に雨などの影響で弱まります。
そこで塗装をほどこし、寿命を長くしているのです。

ところが、塗料の塗膜も常に紫外線を浴び風雨で劣化してゆきます。
塗膜や樹脂皮膜がはがれてしまうとメッキが劣化し、鋼板がむき出しとなってしまうので、通常の鉄素材と同様にサビが発生します

ガルバリウム鋼板の劣化

鋼板自体の性質は、塩分や酸性成分に触れると白や黒に変色します。
また、コンクリートや銅、サビた鉄に接触すると、赤くサビます。

ガルバリウム鋼板の内部にサビが発生すると、他の鉄素材と同様に劣化が進行するため、やがては大規模な補修工事が必要となってしまいます。

表面の傷には弱い

ガルバリウム鋼板は傷がつきやすく、鋼板を守るためには表面のメッキ加工だけでは不十分です。
そこで、メッキ加工の上からしっかりと塗装塗膜で覆う必要があります。

紫外線や風雨で劣化した塗装を放置すると、ガルバリウム鋼板自体にサビが発生し、屋根や外壁の雨漏りの原因となります。
そのため、塗装塗膜が健全な状態を維持することが重要で、ガルバリウム鋼板でも定期的な塗装は不可欠です。

ガルバリウム鋼板の屋根・外壁塗装の判断基準

ガルバリウム鋼板の劣化症状を見分け、塗装のタイミングを判断するには

  • 色あせや変色・チョーキング現象が見られる
  • 凹みや浮き、傷や穴が見られる
  • 白サビ・赤サビ・もらいサビが見られる

などが、基準となります。

ガルバリウム鋼板のチョーキングや傷の確認

チョーキング現象

チョーキングとは、外壁を指で触るとチョークのような白い粉が指に付く現象です。
塗料の劣化を判断する、一つの基準となります。

チョーキングは、塗装表面の塗膜が劣化して、塗料の顔料が粉となって表面に浮き出てくるために起こります。
色あせや変色が目についたら、表面を触ってチョーキング現象が起きていないか、塗装塗膜が劣化していないかを確認しましょう。

凹みや浮き・傷・穴

ガルバリウム鋼板は衝撃に弱く、堅いものが当たると凹みや傷がつきやすい素材です。
屋根においては、台風などの強風にあおられて石や異物が飛んできて傷がつきます。
また、外壁では自転車の出し入れで壁面を傷つけたりすることもあります。

塗料がはがれ傷が内部まで達していると、内部にサビが広がるため、早急な対応が必要です。

ガルバリウム鋼板の劣化症状:サビの種類

ガルバリウム鋼板は、高性能なメッキや塗装で保護されていても、鋼板自体はデリケートな建材です。
サビが確認される場合は、種類を見極めて対処しなくてはなりません。

白サビ

白サビは、ガルバリウム鋼板のメッキに含まれる亜鉛が酸化し、白い斑点となる現象です。
塩害地域や高温多湿地域に多く見られます。

白サビ自体は、腐食する要因とはなりませんが美観を損ないます。
また、メッキ塗装が劣化し始めている判断の基準となります。

赤サビ

赤サビは、ガルバリウム鋼板表面に傷が付き、内部の板金が風雨や外気に露出して起こる鉄サビです。

一般の鉄部と同様、サビが進行しないように早急に傷部分を修復する必要があります。
範囲が広い場合は、全面塗装が必要です。

もらいサビ

もらいサビは赤サビの一種で、他の金属のサビが伝染して発生します。
ネジや、アンテナ・太陽発電設備の設置架台などの鉄部からサビをもらうことが多く、見落としがちになるために定期的な点検が必要です。

電食

ガルバリウム鋼板には、電食という他の金属と接触したり、木材の木酢液に反応したりすることで劣化する性質があります。
ガルバリウム鋼板の外壁に、金属や木製の物を立てかけたる場合は、接触腐食するリスクも考慮しておきましょう。

ガルバリウム鋼板の定期点検と水洗い

ガルバリウム鋼板は、傷がつきやすいデリケートな建材です
そのため、傷からサビが発生していないか、定期的に確認する必要があります

少なくとも年に一度は、雨水による水垢や泥跳ねを落とすための水洗いが必要です。
特に沿岸部や酸性雨の多い地域では、3ヶ月に一度の頻度で洗浄することがオススメです。

ガルバリウム鋼板の水洗いには、高圧洗浄機よりも手洗いが望ましいです。
また、塗装は10年を目安に、少なくとも15年以内には、専門の業者に依頼するようにしてください。

ガルバリウム鋼板の塗装工程

ガルバリウム鋼板の大まかな塗装工程は、下記の通りです。

  • 足場を組む
  • 「ケレン処理」でサビや汚れを取り除く
  • 「目荒らし」で表面をざらつかせる
  • 下塗りをする
  • 中塗り・上塗りをする

塗装前の処理

塗装の前に、サビや汚れをワイヤーブラシやスクレーパーで取り除く作業を「ケレン」と呼びます。
サビや汚れがひどい場合は、電動のディスクサンダーや高圧洗浄機なども使った大掛かりなケレン処理が必要です。

また、ガルバリウム鋼板は、金属メッキ加工で表面がつるつるしているため、塗料を定着させるために表面に凹凸をつける「目荒らし(めあらし)」の作業が行われます。
通常の鉄部塗装の目荒らしよりも時間をかけた丁寧な目荒らしが必要で、業者によるこの技術が、塗装後の塗料の持ちを決めることになります。
耐久年数の長いガルバリウム鋼板でフッ素加工されているものは、特に表面に塗料がのりにくいため、特に適切な下地処理が必要です。

ガルバリウム鋼板の塗装では、デザインが豊富な反面、形状や素材にあった下地処理が必要です
そのため、ガルバリウム鋼材に詳しい塗装業者に依頼するようにしてください

下塗り、中塗り、上塗り

下塗りは、塗料をガルバリウム鋼板に密着させるために必要な作業です。
下塗り塗料には、一般に、「防サビプライマー」と呼ばれる塗料が使われ、サビ止め効果の役割も発揮します。

下塗りが乾燥してから、さらに、中塗り、上塗りと重ねて塗ることで、丈夫な塗膜と美しい仕上げができます。
上塗り塗料の種類には、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料などがあり、値段も異なりますが、一般的には、シリコン塗料が使われています。
また、夏場の屋根からの熱をさえぎるために、遮熱塗料を使う場合もあります。

外壁塗装工事の費用相場

ガルバリウム鋼板の屋根の費用相場

屋根の塗装費用は、面積と塗料の種類、塗装業者によって異なり、50~60平方メートルの屋根で、25~50万円程度と差があります。
塗料の価格は、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、フッ素系塗料の順に高くなりますが、耐久年数もその順に長くなります。

【1平方メートル当たりの塗装費用の目安】

ウレタン系塗料 1,200円~2,200円
シリコン系塗料 1,600円~3,200円
フッ素系塗料 1,800円~4,000円
洗浄費用 100円~200円
足場代 500円~800円
飛散防止ネット 100円~200円
養生 250円~400円

上記は塗装費用の目安ですが、法律上の厳密な成分規定がないため、同じシリコン系塗料でも、商品によって価格・品質に大きな開きがあります
ウレタン塗料で8年、シリコンで10年、フッ素で15年の耐用年数が大まかな目安となりますが、チョーキング現象や表面の傷、サビの状況を見て、塗装時期を判断する必要があるでしょう。

この他に、劣化の度合やひび割れの状況で、追加の補修費やサビ取りのケレン作業費、現場管理費、廃材処理費などが発生します。

外壁塗装の費用相場

外壁塗装の場合は、全面塗装するか、劣化の激しい箇所だけを部分的に塗るだけかで費用が異なってきます。

塗装工事は足場代が高くつくため、外壁も屋根もあわせて塗装工事することが多いです。
そのため、全体の塗装費用は、延べ床面積が100㎡、屋根60㎡の住宅で、80~120万円が費用相場と言われています。

ガルバリウム鋼板の塗装のDIY

ガルバリウム鋼板の塗装は、表面がつるつるしているので塗料が定着しにくく、素人では技術的に塗装が難しいと言えます
表面をざらつかせる「目荒らし」という下地処理を適切に行わないと、高価な塗料を塗っても、数ヶ月のうちに塗料がはがれてしまうことにもなりかねません。

ホームセンターには、豊富な種類の塗料が売っていますが、ガルバリウム鋼板に適さない塗料もあります。
また、下塗り用塗料も同時に購入しなくてはなりません。
有機溶剤を使用する場合は、静電気で火災が起きることもあり、塗装中は火花を発する工具を使わないなど、取り扱いにも十分注意しましょう。

ガルバリウム鋼板塗装もニシムラ塗装にご相談ください

ガルバリウム鋼板は、金属メッキがほどこされた耐久性の高い金属建材として、現在、一般住宅の屋根や外壁、雨戸や戸袋などの多くの部分で使用されています。
薄くて軽量で加工しやすく、デザイン性とカラーバリエーションも豊富なため、人気を集めているのです。

しかし、ガルバリウム鋼板は意外とデリケートな素材で、表面に傷がつけばそこから腐食が始まります。
また、一般の建材と同様に、表面を覆っている塗料が経年劣化することで、ガルバリウム鋼板の耐久性も低下していきます。
そのため、定期的な塗装によるメンテナンスは不可欠です。

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