海外では家の修理や外壁の塗装などを自分でする習慣があり、DIYという言葉が日常的に使われていますね。
DIYは「Do It Yourself」の略語で、専門業者でない一般の人が、「自分で何かを作ったり修繕したりすること」を意味します。
語源は第二次大戦後のロンドンに遡り、元軍人たちが廃墟から復興のために、「何でも自分でやろう」の合い言葉にDIYを使ったそうです。
日本でDIYと言うと、日曜大工という意味合いが強く、趣味で椅子や机、本棚を作って楽しむと言うイメージがありますね。
なかにはホームセンターで材料を買ってきて、自分で室内の壁紙を張り替えたり、作業部屋を作ったりしてリフォームまでしてしまう人もいます。
そこで、今回は、外壁塗装のDIYについて、塗料選びや工具、塗装の仕方や工程、注意点などについて説明します。
目次
- 外壁塗装に使う塗料の種類と選び方
- DIYで必要な塗料の基礎知識
- 外壁塗装の計画と工程
- 外壁塗装のDIYのために準備する用具と費用
- DIYでの外壁塗装は難しい
- 外壁塗装はプロの塗装業に任せるのが一番です
外壁塗装に使う塗料の種類と選び方
外壁塗装の目的は、建材を紫外線や風雨から守り、建物が腐朽・腐食しないようにすることです。
塗料は、色の素となる顔料に様々な樹脂を加えて液体状にしたもので、樹脂の種類によって塗装塗膜の耐久性が決まってきます。
樹脂塗料の種類
樹脂の種類には、「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」などがあり、耐久年数が短い樹脂の塗料ほど値段が安くなります。
たとえば、最も安価なアクリル塗料と普及率の高いシリコン塗料では、耐用年数が6~7年も違ってきます。
これほど樹脂の種類の違いは、塗装後のペンキの持ちに大きく影響してきます。
樹脂の種類 (耐久年数) |
価格と使用頻度と特徴 |
アクリル塗料 (約3~5年) |
安価だが住宅には使われない 耐久年数が短く、防水性に劣る |
ウレタン塗料 (約5~7年) |
比較的安価で下塗りにもなる 耐久年数は劣るが、弾性・防水性がある |
シリコン塗料 (約9~12年) |
ウレタンより高く、主流の塗料 耐久性があり、カラーバリエーションが豊富 |
フッ素塗料 (約10~15年) |
価格は高いが最高品質 耐久性に優れているが、ひび割れしやすい |
無機塗料 (約10~15年) |
価格は高いが最高品質 ガラスを塗料に混ぜ、耐久性に優れている |
また、建材の種類や塗装する場所によっても適している塗料が異なるため、外壁塗装はただペンキを塗れば良いということではありません。
塗料選びでは、樹脂の種類による値段や性能の違いなど、基本的な知識を持っていることが必要です。
DIYで必要な塗料の基礎知識
外壁塗装においても、以前はアクリルやウレタン塗料などが使用されていました。
しかし、紫外線に弱く耐久性が低いため、近年はあまり使われなくなっています。
特に、アクリル塗料は価格が安いですが、すぐに塗り替えが必要になりDIYでもオススメできません。
DIYの場合でも、外壁塗装に適した塗料は必須です。
そこで、一般的に耐久性の高い塗料の種類やその特徴、プラスアルファされた特殊機能についても、理解しておきましょう。
シリコン塗料
シリコン塗料は価格と性能のバランスが良く、現在多くの住宅の外壁塗装に採用されている塗料です。
ただし、メーカーによってシリコン樹脂の含有量が異なります。
「シリコン塗料だから大丈夫」と思わず、含有量も調べて信頼できる高品質のシリコン樹脂塗料を選ぶことが大切です。
また、立地条件によっても耐用年数は異なってきます。
そのため、メーカー掲載の耐久年数以内であっても、塗膜の劣化状態によっては外壁塗装が必要です。
フッ素系塗料や無機塗料
フッ素系塗料や無機塗料は、外壁塗料の中でも最高品質の塗料と言われています。
ただ、その分価格も高価です。
退色やツヤ引けがほとんど無く耐久性が高いので、塗り替えのサイクルが長くなります。
長期的に見れば、コストパフォーマンスも悪くはないでしょう。
しかし、塗装をするには高度な技術が必要です。
正しく塗装できなければ、本来の効果を発揮できません。
そのため、初めて塗装する人のDIYには向かないと言えます。
防カビ・防水・遮熱性塗料
防カビ塗料は、カビやコケ、藻が繁殖しやすい北側の壁の塗装に向いています。
防水塗料は、防水性の高い塗膜に特徴があり、沿岸部の住宅やベランダやバルコニーの塗装に適しているでしょう。
遮熱塗料は、塗膜で太陽熱を反射させ、住宅内部に熱を通しにくくするため、夏場のエアコンの使用を抑える省エネ効果にも役立ちます。
DIYにおすすめの塗料
外壁塗装においては、耐久性が求められます。
また、DIYなら扱いやすさも重要な要素でしょう。
これらの事を加味すると、シリコン樹脂塗料がおすすめです。
ウレタン塗料も、弾性があり密着性が高いため、建材や塗る場所によって適している場合もあります。
外壁塗装の目的は、外壁材を紫外線や風雨から守り、雨水の家屋への侵入を防ぐことです。
値段の安さだけで塗料を選ぶと、大きな失敗につながります。
外壁塗装の計画と工程
外壁塗装を成功させるコツは、事前にしっかりと塗装計画を立て、万全の準備をすることです。
塗装の工程に合わせて、洗浄、養生、下地処理、下塗り、中塗り、上塗りの順に日程を組みましょう。
毎日どれだけの時間を作業に費やせるかでスケジュールは異なってきますが、1〜3ヶ月くらいの期間を目安に塗装計画を立てるのがおすすめです。
DIYにとりかかる前に、各工程での作業内容を熟知しておきましょう。
洗浄で外壁表面の汚れを落とす
外壁には、台風や強風によりさまざまな汚れが付着しています。
また、付着した苔や藻などが、広範囲に繁殖している場合もあります。
汚れた壁面に塗料を塗っても塗料の密着性が悪く、きれいな塗膜が作れません。
そこで、塗装前にしっかりと洗浄することが大切です。
塗装業者は、より確実に洗浄するため高圧洗浄機を使って洗浄作業をします。
しかし、ホースで水をかけながらブラシで洗い落としても、きれいな状態にすることは可能です。
養生で塗料の飛散による被害を防ぐ
養生とは、塗料が飛び散って周辺を汚すことを防ぐために、テープやビニールで汚したくない部分を覆う作業です。
地面や窓、植木や車など、ペンキが飛散して汚れる可能性のあるものをカバーします。
ガムテープでもできますが、粘着性が強く跡が残る可能性があるため、マスカーと呼ばれる専用の養生テープがオススメです。
マスカーはテープとシートが一体になったもので、貼って広げるだけで簡単に養生できます。
下地処理
下地処理とは、ひび割れやサイディングボードのつなぎ目の劣化を補修したり、外壁表面を調整したりする作業です。
下地処理が甘いと、塗装は綺麗に仕上がりません。
戦場で取り切れなかったサビや汚れは、やすりなどできれいに落とします。
また、大きなひび割れがある場合は、V字カットしてシーリング材を流し込む作業も必要です。
塗装が劣化している場合、目地のシーリングも大抵劣化しています。
そこで、シーリング材の劣化状態に合わせて、のり状のゴム製合成樹脂を隙間に埋め込む必要があります。
シーリング材にも様々な種類があり、建材や用途に合わせて選びますが、変性シリコン系のシーリング材が一般的です。
シーリングの補修では、シーリング材の劣化が激しい場合は追加してもすぐに剥がれてしまうため、古いシーリング材を取り除くことから始めます。
下塗り
外壁塗装では、そのままペンキを塗るのではなく、下塗りをして外壁建材と塗料の密着性を高めます。
この密着性を高める下地剤は「シーラー」と呼ばれ、塗料が吸い込みやすい建材には、粘着性のある「フィラー」と呼ばれる下地剤を用います。
また、塗料には油性と水性があります。
油性は耐久性に優れますが、シンナーなどの強い臭いが健康に害を及ぼす恐れがあります。
そのため、DIYにおいては水性塗料を選択するとよいでしょう。
水性塗料は、近年開発が進んで耐久性もよくなり、健康への被害もほとんどありません。
用具の水洗いや飛散塗料の除去がその場ですぐにできるため、DIY向きといえます。
また、初めて塗装する場合は、均一に塗装できるローラー塗りがおすすめで、細部は刷毛で作業しましょう。
中塗りと上塗り
中塗りには、塗装に厚みを持たせ、外壁塗装の耐用年数を長くする役割があります。
そもそも塗料には、メーカーによって定められた適切な塗布量というものがあります。
塗布量を守りつつ均一な塗膜を実現するには、厚すぎず薄すぎず塗装する必要があり、塗装技術が必要です。
また、きちんと乾燥させてから上塗りをしなければ、きれいな塗装膜の層を形成することができません。
下塗り・中塗り・上塗りの日程は、乾燥時間も考慮して立てるのがポイントです。
塗料の厚さを均一にするため、中塗りと上塗りの色を違えて、塗り忘れや塗りすぎどのムラが起きないように塗装する方法もあります。
外壁塗装のDIYのために準備する用具と費用
塗装作業の日程をきめたら、次に必要な用具を揃えましょう。
安全かつスムーズに塗装作業が進むよう、綿密に準備してください。
塗装用具は、ホームセンターや塗装用具の専門店で入手することができます。
基本用具
外壁塗装をDIYするなら、塗料やシーリング材の他に、刷毛、ローラー、養生テープ、養生ビニールなど非常に多くの用具が必要です。
質や種類よって価格差はありますが、ホームセンターで揃えると30~50万円はかかると思います。
塗装専門店で職人が使う用具を購入すると、100万円ほどかかることもあります。
そこで、どの程度の塗料や用具を使うか、予算を決めなければなりません。
専門店での購入は価格が高くなりますが、外壁材にあった塗料の選び方や用具の選択など、アドバイスを受けることができることがメリットです。
また、外壁塗装は高所で作業するため、ヘルメットや安全帯は必ず準備しなければなりません。
自分の身を守るためにも、必要な安全対策を熟知しておきましょう。
安全な足場の準備
作業の安全性を確保するには、安全な足場を準備することが大切です。
間違っても、はしごや脚立で作業してはいけません。
足場を設置する場合は、「くさび緊結式足場」を専門業者に依頼して設置するようにしましょう。
くさび緊結式足場とは、手すりや筋交をくさびにより、支柱にしっかりと緊結して組み立てる足場です。
足場は専門業者からレンタルができますが、一般的2階建て住宅で約30〜40万円が相場と言われています。
足場は有資格者の監督のもとに組み立てることになっており、プロの塗装業者も専門業者に依頼することが多いです。
素人が何とかすることは不可能なので、必ず専門業者に依頼してください。
DIYでの外壁塗装は難しい
外壁塗装のDIYは、塗装中は楽しいかもしれません。
しかし、技術面や安全面を考えると、素人で何とかするのは難しいと言わざるを得ません。
あとから後悔することのないように、外壁塗装のDIYのリスクについても理解しておいてください。
作業中の転落のリスク
外壁塗装は高所で行うため、プロの職人でも死傷者の多い職種です。
2階建て以上の住宅になると、常に転落などの事故が起きる危険と向かい合わせになります。
足場を設置したとしても、慣れていないと非常に危険です。
バランスを崩して転落すると大怪我をおい、一人作業で発見が遅れれば最悪の場合死に至るかもしれません。
下地処理の失敗と塗りムラ
塗料本来の耐久年数を実現するには、外壁材に適した塗料を、基準の塗布量で正しく塗ることが必要です。
塗料と建材の相性が悪かったり、下地処理が正しくできていなかったり、塗りムラがあったりすれば、塗膜はすぐに劣化して剥がれてしまいます。
また、下地が乾燥していない状態で塗り重ねると、2、3年後に塗膜が剥離してくるケースも多くあります。
塗料の乾燥時間は季節や天候によっても異なるため、しっかりとした塗装知識が必要です。
時間と費用と労力をかけてDIYで塗装しても、すぐにまた塗り替えが必要になりかねません。
養生の難しさと塗料飛散のリスク
養生は、ビニールやテープで塗料が付いてはいけない部分を保護します。
しかし、これが意外と難しいのです。
少しでもはみ出したりすると、養生の意味がなくなってしまいます。
また、塗料の飛散で近所とトラブルになった場合もあります。
塗装業者に依頼していれば、業社が自社で加入している保険で対応してくれるでしょう。
しかし、DIYで塗装する場合は、すべてのトラブルを自身で解決しなければなりません。
外壁塗装はプロの塗装業に任せるのが一番です
外壁塗装においては、DIYは多くのリスクが伴います。
そもそも外壁塗装の目的は、塗装によって雨水の侵入から建材を守ることです。
適切な塗料を正しく塗装しなければ、その目的を達成することができません。
正しく塗装するには、専門的な知識と塗装技術が必要です。
DIYでは、耐久性のある外壁塗装を実現することはできないでしょう。
そこで、外壁塗装をご検討中なら、私たちニシムラ塗装にご連絡ください。
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